絵本の読み聞かせをしてみよう!よみっこ ブログ




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てんさらばさら てんさらばさら

 近所に「ケサランパサラン」というスナックを見つけた。

 白地の看板には、黒一色で手書きの店名が、縦に2列に書かれている。
 けっしてうまいと思うこともないその文字は、看板の大きさに比べて不釣合いに小さいのだけれども、白地の真ん中にちょこんと感じよく収まっていた。

 「ケサランパサラン」というのは、「てんさらばさら」の別名だ。

 その日私は、老人ホームで「てんさらばさら」の「よみっこ」をしてきたばかりだった。

 絵本の中だけでなく、実生活の中でも不思議なことは起こるものなんだなと、あらためて思って立ち止まってしまった……


 最初にこの絵本を手にした時に「てんさらばさら」のことは、聞いたことがあるような気がするけれども、何のことだかすっかりと忘れていた。

 でも老人ホームのおじいちゃん、おばあちゃんたちだったら、今でもしっかりと覚えているかもしれないと思い「よみっこ」の前に聞いてみた。

 けれど「てんさらばさら」も「ケサランパサラン」も、知っている人は誰もいなかった。

 そこから話しを盛り上げようかなと思っていたので、ちょいと拍子抜けしたものの、気を取り直して「よみっこ」を終わらせた。

 そして帰りの電車の中……

 ふと、考えたことがあった。

 もしかしたら、あのおじいちゃん、おばあちゃんたちには、「てんさらばさら」は必要なかったのじゃないかなと。

 「てんさらばさら」は、これを手に入れれば、いいことが起こると言われているものだ。

 けれども、戦時中をも生き抜いてきたホームの人たちは、この絵本の結末のようなことを知っていたために、たとえ近くにあったとしても目に入らなかったのかもしれない。
 それに忙しさの中で、いいことをかみ締めることや、いいことが起こることを願っている時間さえも惜しんで日々の生活をしてきたのかもしれない。
 もちろん、私の勝手な妄想だ……

 そんなことを考えながら電車を降りて、ふらふらといつもと違う道を歩いていた時に見つけたのが「ケサランパサラン」だった。

 その時、ちょいとだけ気持ちが看板に引き寄せられたのだけれど、やはり家に帰ることにした。
 そして当分私は、この店で飲むことはないだろうなと思った。

 そこが居酒屋ではなかったことが残念だったからじゃない。
 魅力的な「てんさらばさら」は、もうしばらく物語の中に大切にしまっておこうと思ったからだ。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:12 | chaury |

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