絵本の読み聞かせをしてみよう!よみっこ ブログ




<< 老人ホームのおはなし会(13年9月) | main | ふしぎなボジャビのき(絵本) >>
うみべのいえの犬ホーマー(絵本)
 いや、いや、いや……いいです!

 幸せとは何かを考えさせられる絵本。
 何度見直しても満たされます。

 絵の構成が素晴らしいので、絵を眺めているだけで内容が分かります。

 タイトルが書かれている扉には、空が描かれているのですが、画面の下に「うみべのいえ」の屋根と屋根と同じ高さの周囲の木々、それに上ったばかりの太陽も描かれています。

 次の見開きは、奥付と2度目のタイトルが書かれています。
 絵はどうなったかというと……動画を撮っているとするならば……
 扉の絵を撮っていたカメラをパン・ダウン(下に向ける)させて、「うみべのいえ」全体と海も取り込んだ広い絵になっています。
 太陽は、少しだけ高い位置に描かれていて時間の経過が分かります。
 よく見ると、「うみべのいえ」の前面には屋根つきのデッキがあり、そこにはすでに犬のホーマーが小さく小さく描かれています。

 次の見開きから本文が始まるのですが、ここからカメラはホーマーの真横に固定されます。
 多少寄ったり引いたりするのですが、カメラが動くことはありません。

 その多少の寄り引きは、4人の家族一人一人と他のペットの犬3匹が、家から出ていく度に行われます。

 ……このような場合、「見た目」と言われる、ホーマーの視線でとらえた絵を出したくなります。
 「見た目」の絵があれば、読者はホーマーの気持ちに同化しやすくなるからです。
 けれども、いっさい出てきません。

 作者は、ホーマーを見てもらいたいのです。
 読者をホーマーの側に座らせて、ホーマーが何を思っているのかを、じっくりと考えてもらいたいのだと思います……

 全員が「うみべのいえ」から出ていった後の見開きは、突然、広い絵に変わります。
 「うみべのいえ」と海を含む風景の中には、デッキの上のホーマーはもちろんのこと、出ていったばかりの4人の家族と3匹のペットがすべて描き込まれています。

 次の見開きで、カメラは元に戻り、ホーマーの真横に固定されます。

 今度は、家族と3匹のペットがつぎつぎに戻ってくるのです。

 その後家族は、夕暮れになるまでのひと時をホーマーのいるデッキで過ごした後、家の中に入っていきます。
 その時、父親がホーマーに声をかけます。

 「ホーマー、なにか いるものは ないかい?」

 ホーマーが答えます。

 「だいじょうぶ、ほしいものは ぜんぶ あるもの。」

 この言葉の後、もう一つのホーマーの言葉を残して文章はなくなります。

 次の見開きは、左右3段ずつのコマ割りになっています。

 左のコマ割りは、ホーマーが立ち上がり家の中に入って行くところです。
 ホーマーが立ち上がった時に、半分だけ水平線に沈んでいた太陽は、ホーマーの体が家の中に半分だけ入った時に、完全に水平線に吸い込まれます。
 ホーマーが、どれだけのんびりと動いているのかが分かります。

 次の見開きで、家の中の広い絵がポンと表れます。
 そこには、ホーマーも含めて家族とペットが全員描かれています。

 次の見開きの左ページには、寝床である青いソファの中にうずくまるホーマーが描かれています。
 右ページには……
 大切な大切なホーマーの最後の言葉だけが、白地の中に書かれています。

 ふつうならば、ここで終わりです。

 けれどもページをめくると、左側にもう一枚の絵が描かれているのです。

 やられました!

 この絵があることによって、さらに感動が深まるのです……

 ……何度も眺めていると、全体の絵の構成が上記のようになった理由が、そして一枚一枚の絵の意味が、しみじみと分かってくると思います。
 ぜひとも、ゆったりとした気持ちで、お酒やお茶を飲みながら、この絵本を味わってほしいと思います。



| comments(0) | trackbacks(0) | 09:50 | chaury |

このページの先頭へ










http://yomikko.jugem.jp/trackback/531
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

+ 現在表示中の記事
+ 記事の項目
+ RECOMMEND
+ ARCHIVES
+ RECENT COMMENTS
+ RECENT TRACKBACK
+ LINKS
+ MOBILE
qrcode
+ OTHERS
+ PROFILE
+ COUNTER
ブログパーツUL5