絵本の読み聞かせをしてみよう!よみっこ ブログ




<< わすれられないおくりもの | main | おんちょろきょう >>
赤いおおかみ
フリードリッヒ・カール ヴェヒター
古今社
(2001-12)

 なんて、静かなのだろうと思うのです。
 そして、涙が止まらなくなるのです。

 この静けさは、不思議です。

 絵本の中には、オオカミに育てられた赤い犬の激動の生涯が描かれています。
 波乱に満ちた生涯は、ドラマチックです。
 けれども感動するのは、そのドラマに対してだけではありません。

 涙が出てくるのは、「赤いおおかみ」という絵本の持つ静けさが、体の中に入り込んで余分な力を抜いてくれるからです。
 そして、体と共に気持ちの芯までリラックスして、呆けたようになって涙が止まらなくなるのです。

 本文は、最初から最後まで赤い犬の過去形の言葉で、淡々と綴られていきます。
 いつもなら、物語の中の出来事に一喜一憂するのでしょうが、「赤いおおかみ」では、語られた出来事を一つ一つ受け入れていくだけの状態になります。

 それは、とても心地のよいことです。
 太陽の光を十分に浴びて、ふかふかになった洗濯物を、一枚一枚ていねいにたたんで、体の中にしまい込んでいくようなイメージもあります。

 けれども実生活ならば、すべてのことを淡々と受け入れていくことなど出来ないでしょう。
 少なくとも、私にはできません。泣いたり怒ったり悲しんだりして、叫んだりあがいたりするはずです。

 そんな私が、静けさを感じながら「赤いおおかみ」を読み進んで、エンディング部分にさしかかった時です。
 私は、死を目前にした時の気持ちを疑似体験させられているのではないかと感じてきました。

 おそらくそれは、作者のF.K.ヴェヒターさんが理想とする、死を迎える時の気持ちのあり方ではないでしょうか。
 そしてそれが、「赤いおおかみ」に対して感じていた「静けさ」ではないかと思うのです。

 今の未熟な私には、そのような静けさを自ら持つことはできません。
 けれども私は、「赤いおおかみ」が持つ静けさに触れたことによって、とてもピュアな活力をもらったような気がしています。



| comments(0) | trackbacks(0) | 13:51 | chaury |

このページの先頭へ










http://yomikko.jugem.jp/trackback/56
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< July 2017 >>

+ 現在表示中の記事
+ 記事の項目
+ RECOMMEND
+ ARCHIVES
+ RECENT COMMENTS
+ RECENT TRACKBACK
+ LINKS
+ MOBILE
qrcode
+ OTHERS
+ PROFILE
+ COUNTER
ブログパーツUL5